注目の論文
【気候変動】実は高かったグレートバリアリーフの回復力
Nature Communications
2014年6月18日
Climate Change: Great Barrier grief may be a thing of the past
海面水温の変化に対するグレートバリアリーフの回復力は、これまで考えられていたよりも高い可能性があることを明らかにした論文が、このたび掲載される。
世界遺産のグレートバリアリーフは、世界最大のサンゴ礁系で、数十万年間にわたって進化してきた独特な生態系だ。それにもかかわらず、夏の平均水温が摂氏1度以上上昇すると、熱ストレス、サンゴの白化と死が起こることが懸念されている。今後の気候変動に対するサンゴの応答可能性を判断するためには、これまでのサンゴの適応過程を解明することが、まず必要とされる。
今回、Thomas Felisたちは、気温が全球的に著しく上昇した最終氷期の末期におけるグレートバリアリーフでのサンゴの応答を調べた。今回の研究で行われたサンゴ化石の地球化学的解析で、サンゴが、20,000~13,000年前に、これまで考えられていたよりかなり大幅な摂氏数度の水温変化を生き抜いて適応していたことが明らかになった。
ただし、Felisたちは、グレートバリアリーフのサンゴが、こうした水温の変化に適応するために数千年を要した点を指摘して、今後の温暖化への適応に必要な時間スケールを突き止めるには、さらなる研究が必要だという見解を示している。
doi: 10.1038/ncomms5102
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