注目の論文
温暖化した嵐はより大きな降雨変化をもたらす
Nature Geoscience
2015年6月9日
Warmer storms bring greater rainfall swings
気温が上昇した際にオーストラリアで発生する嵐では、強い降雨はより強く、弱い場合はより弱くなるという研究結果の報告が、今週のオンライン版に掲載される。このような傾向が将来の温暖化時にも継続するならば、個々の嵐について総降雨量が同じでも、短時間の極端な降雨により起きる洪水の危険度が上昇する可能性がある。
気温の上昇と共に強い降雨の頻度と強度は増加すると考えられている。しかしながら、嵐の発生から収束までの過程で降雨分布がどのように変化するかは考えられていなかった。
Ashish SharmaとConrad Waskoは、オーストラリア全体の広範な気候帯にまたがる79か所の気象観測所における嵐発生時の降雨量測定値を集計し、地表近くの気温と比較した。彼らは、気温が上昇したときに起きる嵐の降雨分布は、その発生過程でより不規則となっており、嵐の始まりと終わりの降雨量はより少なく、最大時の降雨量はより大きくなることを見つけた。このような極端な降雨のパターンは、熱帯から乾燥して寒冷な気候まで全ての緯度にわたって見られた。著者たちは統計的解析と流路の水文学的関連性を結び付け、温度が5℃上昇すると、彼らが研究したオーストラリアの気候帯では洪水のピークが5~20%増加する可能性があると見積もっている。
doi: 10.1038/ngeo2456
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