Letter

非構造的なガイドRNAを生ずるsiRNAの設計によってRNA干渉の効率が向上する

Nature Biotechnology 23, 11 doi: 10.1038/nbt1151

RNA干渉(RNAi)では、ガイドRNAがRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を標的mRNAに導くことで、切断が誘導されて遺伝子サイレンシングが起こる。本論文では、ガイドRNAの二次構造形成の程度と低分子干渉(si)RNAによる遺伝子サイレンシングとの間に強い逆相関があることを示す。非構造的なガイド鎖がきわめて強いサイレンシングをもたらす一方、末端の塩基が対合するガイド鎖は不活性である。したがって、ガイド構造内の末端ヌクレオチドの自由度がサイレンシングの強度を決定する。AからGへ、およびCからUへの塩基置換は標的とのゆらいだ塩基対形成に関与しながら相補性を保存するものであるが、これによってガイド構造が不活性型から活性型に転換し、機能性siRNAの空間が拡張した。成熟したマイクロ(mi)RNAに塩基の縮重がすでに認められていることを今回のデータと総合すると、ガイドRNAの構造がmiRNAの作用で重要な役割を担っていることが示唆される。ガイドRNA配列の二次構造がRNAiの効率に及ぼす作用の解析は、RNAサイレンシング経路の理解を深め、siRNAの設計を改善するための基盤となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度