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肉由来の乳酸菌Lactobacillus sakei 23Kの全ゲノム配列
Nature Biotechnology 23, 12 doi: 10.1038/nbt1160
Lactobacillus sakeiは新鮮な肉および魚で普通にみられる低温性乳酸菌である。発酵肉製造では広く利用されており、バイオプリザベーションおよび食品安全性の面でバイオテクノロジー的観点から有望視されている。本研究では、遺伝子1,883個の存在が推定される23K株の環状染色体(1,884,661 bp)を精査した。ゲノム配列からは、生肉製品上での勝ち残り能力への寄与が考えられるプリンヌクレオシドの捕捉など、特殊な代謝レパートリーの存在が明らかにされた。食品加工時の過酷な条件、特に酸化還元レベルおよび酸素量の激しい変化への抵抗性をもたらす遺伝子が多くみられた。肉表面でのコロニー形成を促すと考えられるバイオフィルム形成および細胞凝集への関与が考えられる遺伝子群も同定された。このゲノムプロジェクトは、肉および魚の加工に対する新たな生物工学的切り口を検討し、このような特殊環境に細菌が適応するための基盤を探るための第一歩である。