Article 低分子干渉RNAを抗体の作用で細胞表面受容体を介してin vivoで送達する 2005年6月1日 Nature Biotechnology 23, 6 doi: 10.1038/nbt1101 低分子干渉RNA(siRNA)は、治療に応用する上で細胞内への送達が大きな障害となっている。本研究では、HIV感染細胞またはエンベロープ導入細胞にsiRNAを送達するためのプロタミン-抗体融合タンパク質を設計した。この融合タンパク質(F105-P)は、プロタミンをコードする配列がHIV-1エンベロープ抗体の重鎖Fab断片のC末端と連結された構造となっている。F105-Pに結合させたsiRNAは、HIV-1のエンベロープを発現する細胞でのみサイレンシングを誘導した。またHIV-1のキャプシド遺伝子gagを標的とするsiRNAは、核酸導入が困難なHIV感染一次T細胞でHIVの複製を阻害した。F105-PとsiRNAの複合体をマウスの腫瘍内または静脈内に注入したところ、HIVのエンベロープを発現するB16黒色腫細胞は標的化されたが、正常組織細胞およびエンベロープ陰性B16細胞の標的化は認められなかった。またc-myc、MDM2、およびVEGFを標的とするsiRNAを結合させたF105-Pを注入すると、エンベロープを発現する皮下のB16腫瘍の増殖が阻害された。さらに、プロタミンと融合させたErbB2の単鎖抗体は、siRNAをErbB2発現がん細胞の中へ選択的に送達した。今回の結果は、siRNAが抗体の作用で全身へ細胞型特異的に送達される可能性を示している。 Full text PDF 目次へ戻る