Article 酵母の対浸透圧ショック応答の統合モデル 2005年8月1日 Nature Biotechnology 23, 8 doi: 10.1038/nbt1114 実験的研究と数学的モデルとを統合すれば、系の特性に関する知見を得、摂動作用を予測し、今後の研究に対する仮説を立てることが可能となる。本研究では、高浸透圧ショックに対する酵母の細胞応答の包括的な数学的記述を行った。このモデルは、受容体の刺激、MAPキナーゼカスケードの動態、遺伝子発現の活性化、および細胞代謝の適応を含む生化学反応ネットワークと、細胞体積調節および浸透圧の熱力学的記述とを統合したものである。シミュレーションの結果は、さまざまなストレス条件または特定の変異体で得られた実験結果とよく一致している。このモデルは、浸透圧調節物質の蓄積およびフィードバック制御に関してこれまで認識されていなかった系の特性を示唆しており、それが実験で確認されていることから予測力があるといえる。この数学的記述は、酵母の浸透圧調節に関する今後の研究に有用なツールであり、適切に修正すればほかの生物にも有効である。また、細胞シグナル伝達を包括的に記述するための出発点にもなる。 Full text PDF 目次へ戻る