Letter グロビン導入遺伝子の発現とRNA干渉とを同時に制御して鎌状赤血球貧血を治療する遺伝子戦略 2006年1月1日 Nature Biotechnology 24, 1 doi: 10.1038/nbt1176 幹細胞を利用した治療にRNA干渉(RNAi)を応用するには、特異性が高く系統限定的な遺伝子の抑制が要求される。本論文では、造血幹細胞中での導入遺伝子の発現とRNAiとの同時制御に関する実現性および治療可能性を示す。プロモーターをもたない短いヘアピンRNA(shRNA)を組換えγグロビン遺伝子のイントロンにコード化した。γグロビンおよび投げ縄構造を組み込んだ低分子干渉RNA(siRNA)のいずれもが赤血球分化で発現し、目的遺伝子が組織および分化段階特異的に下方制御された。導入遺伝子の高発現、有効なsiRNAの生成、およびインターフェロン誘導の最小化を同時に達成するには、イントロン中のshRNAの位置が決定的に重要であった。鎌状赤血球貧血患者のCD34+細胞をレンチウイルス法で導入すると、赤血球特異的なγグロビン導入遺伝子の発現と同時に内因性のβSグロビン転写物の減少が引き起こされた。これにより、幹細胞の子孫で相乗的な遺伝子の導入および抑制を必要とする治療方針に関して概念の正当性が確認された。 Full text PDF 目次へ戻る