Article 普遍的な海洋性炭化水素分解細菌Alcanivorax borkumensisのゲノム配列 2006年1月1日 Nature Biotechnology 24, 8 doi: 10.1038/nbt1232 Alcanivorax borkumensisは、炭素源およびエネルギー源としてもっぱら石油の炭化水素を利用する普遍的な海洋細菌である。非汚染環境ではほとんど検出されないが、石油汚染水域では優先微生物となる。A. borkumensis SK2株の合理的なゲノムには、可動性遺伝因子およびエネルギー生成関連遺伝子がわずかしか含まれていないが、広い炭化水素基質範囲および効率的な石油分解能を説明する遺伝子は多数含まれている。このゲノムはさらに、栄養分、特に有機および無機窒素ならびに微量元素を捕捉する機構、油水界面でのバイオフィルム形成、バイオサーファクタント(生物由来の界面活性剤)産生、および生息場所特異的なストレス応答を規定している。このような特徴の独特な組み合わせは、A. borkumensis SK2株に石油汚染環境下での競争力を与えている。このゲノム配列は、今後石油流出による環境被害を抑える戦略を構築するための基礎となる。 Full text PDF 目次へ戻る