Analysis

タンパク質の結晶化を支配する物理特性を大規模な実験データの解析で解明する

Nature Biotechnology 27, 1 doi: 10.1038/nbt.1514

回折法による高処理能タンパク質構造解析では、結晶化が最大の難関である。本研究では、ノースイースト構造ゲノミクスコンソーシアムおよび実験的折りたたみ研究の大規模な実験結果のデータマイニングを利用し、タンパク質の結晶化を支配する生物物理特性を分析した。この分析により、結晶化傾向は主としてタンパク質間相互作用の媒介が可能な秩序ある表面エピトープをどれだけもつかに依存しており、全体的な熱力学的安定性の影響は強くないという結論が導かれた。我々は、結晶化傾向と相関し、ある構造体の結晶化確率の推定に利用可能な特異的配列の特徴を突き止めた。予測されるプロテオーム全体の分析から、ヒトタンパク質と真正細菌タンパク質ではアミノ酸配列の特性の差が大きいことが明らかになった。このことは、結晶化傾向を含む生物物理特性の差を反映していると考えられる。本論文の熱力学的測定法は、配列特性とタンパク質安定性の相関関係に関する従来の主張を一般的には支持しないものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度