Article 血管内のAAV9は新生仔ニューロンおよび成体星状細胞に選択的に送達される 2009年1月1日 Nature Biotechnology 27, 1 doi: 10.1038/nbt.1515 血液脳関門を越えて脳および脊髄に遺伝子を送達することは、未だに実現されていない。本論文では、静脈内に注入したアデノ随伴ウイルス(AAV)9型が、血液脳関門を越えて中枢神経系の細胞に効率的に送達されることを示す。AAV9-GFPをマウス新生仔の顔面静脈に注入したところ、脊髄全体の後根神経節および運動ニューロンに強い形質導入を生じ、新皮質、海馬、および小脳を含む脳全体のニューロンでも広範囲に形質導入が認められた。成体マウスの尾静脈に注入すると、中枢神経系全体の星状細胞に強い形質導入がみられ、ニューロンの形質導入は限定的であった。この方法からは、運動ニューロンへの標的輸送による脊髄性筋萎縮症の治療や、星状細胞への標的輸送による筋萎縮性側索硬化症の治療など、さまざまな神経変性疾患の遺伝子治療が開発される可能性がある。またこの方法は、迅速な出生後遺伝子操作により、基礎神経科学研究の面でも有用である可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る