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大規模で選択的な配列解読を可能とする微小液滴ベースのPCR濃縮

Nature Biotechnology 27, 11 doi: 10.1038/nbt.1583

ヒトゲノムの特定の遺伝子座の選択的濃縮は、配列を解読して大集団の遺伝的変異を研究するための有力な手段である。本論文では、150万回の増幅を同時に行う微小液滴PCRによる濃縮法を紹介する。遺伝子47個のエキソン435個を標的とするプライマーを使用し、微小液滴PCRまたは従来のシングルプレックスPCRで濃縮した6種類の試料の配列を解読した。両法で得られたデータは同程度に高品質であり、一意的に読まれる配列の84%が標的配列中に含まれ、カバー率は約90%の標的塩基に関して一定であり、配列変異は99%を上回る精度でコールされ、試料間の再現性は高かった(r2 = 0.9)。微小液滴PCRの規模を、3,976個の増幅産物(計1.49 Mbの配列)に拡張し、得られた試料の配列をIllumina GAIIおよびRoche 454の双方で解読したところ、得られたデータの特異性および感度は同程度に高かった。今回得られた結果は、微小液滴法が、選択的に配列を解読するヒトゲノムの特定の配列群を超並列濃縮するためのDNA処理に適していることを示した。

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