Review [COMPUTATIONAL BIOLOGY ANALYSIS] がんの両末端配列解読でドライバー遺伝子融合を明らかにする統合的方法 2009年11月1日 Nature Biotechnology 27, 11 doi: 10.1038/nbt.1584 がんゲノムには異常な遺伝子融合が多く含まれているが、疾患を進行させるもの(ドライバー)は少数で、多くは非特異的なもの(パッセンジャー)である。我々は、分子間相互作用、経路、および機能的アノテーションなど、がん遺伝子に特有の「分子的概念」との関連を評価することにより、高処理能解析のデータから生物学的に重要な融合を選び出すアルゴリズム(概念特性<ConSig>スコア)を開発した。コピー数のデータから候補の融合が裏づけられ、融合パートナーの遺伝子内コピー数異常に関する切断点原理が示唆された。本研究では、肺がんのトランスクリプトームの配列解読およびゲノムデータの分析により、H1792細胞株でR3HDM2-NFE2の融合を新たに同定した。肺組織マイクロアレイでは、肺がん患者76例中2例でNFE2座に再発を示唆するゲノム再編成がみられた。NFE2をノックダウンすると、H1792細胞の増殖および浸潤が抑制された。総合すると、今回の結果はがんの遺伝子融合の系統的な解析方法を提示するものであり、新しい融合の発見を支援する重要な特徴が明らかにされた。 Full text PDF 目次へ戻る