Article 条件的トランスポゾンを用いた挿入変異誘発によるマウス肝細胞がん関連遺伝子のスクリーニング 2009年3月1日 Nature Biotechnology 27, 3 doi: 10.1038/nbt.1526 本論文では、任意の組織に特異的にがんを生じさせるために、CreリコンビナーゼによるSleeping Beauty(SB)トランスポザーゼ対立遺伝子の活動制御を可能とするシステムを紹介する。マウスがんの組織特異的モデル開発の可能性を実証するため、Creの発現をアルブミンのエンハンサー・ プロモーター配列の制御下におくことで、SBの転位を肝臓に限定し、肝細胞がん(HCC)関連遺伝子群のスクリーニングを行った。68個の腫瘍結節からクローン化された重複しない挿入領域8,060カ所をヒトHCC試料のデータと比較した結果、HCCの発症と密接に関連する遺伝子座が19カ所同定された。そこには、 EGFRやMETなど過去にHCCとの関連が示された遺伝子のほか、 UBE2Hなど、この腫瘍の治療で新たな標的となりそうな遺伝子がコードされていた。我々のシステムは、組織特異的なCreの発現が可能な任意の部位でトランスポゾンによる挿入変異誘発を生ずるように修正することが可能であり、がんゲノムの解明の進展および治療法開発のための新たな標的の特定に有望である。 Full text PDF 目次へ戻る