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siRNAまたは細胞毒性薬を装填した標的輸送用ミニ細胞による薬剤耐性腫瘍の連続処理

Nature Biotechnology 27, 7 doi: 10.1038/nbt.1547

化学療法薬の用量制限毒性、がん細胞の不均一性と薬剤耐性、および腫瘍への標的輸送の困難さは、いずれも有効ながん治療の実現に立ちはだかる大きな課題である。我々は、化学療法薬を装填すると腫瘍の安定化および退縮を引き起こすことが確認されている細菌由来の完全なミニ細胞に、低分子干渉RNA(siRNA)の二本鎖が容易に取り込まれることを明らかにした。抗体を介して腫瘍細胞表面の受容体に標的輸送されたミニ細胞は、まずsiRNA、または短鎖ヘアピンRNA(shRNA)をコードするプラスミドを腫瘍異種移植片特異的に連続輸送し、多剤耐性タンパク質をノックダウンすることで、薬剤耐性を無力化することができる。次に、細胞毒性薬を装填した標的輸送用ミニ細胞を投与することで、薬剤耐性を失った腫瘍が消滅する。2種類の作用物質を装填したミニ細胞を使用するこの二段階の投与法は、毒性を示すことなく腫瘍異種移植片をもつマウスを完全に生存させ、使用する薬剤、siRNA、および抗体の量が、従来の全身投与によるがん治療に必要な量の数千分の1に抑えられる。

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