Article 代謝流量のモジュール制御を可能とする人工足場タンパク質 2009年8月1日 Nature Biotechnology 27, 8 doi: 10.1038/nbt.1557 産生宿主にとって異種の酵素によって構成される人工代謝経路は、本来の代謝に固有の調節機構をもたないことが多いため、流量のバランスを崩してしまう場合がある。対象経路の各要素の実効濃度を高める研究のなかで、我々は、意図した様式で代謝酵素を空間的に動員する人工足場タンパク質を構築した。後生動物のシグナル伝達タンパク質に由来する相互作用ドメインをもつ足場は、同族のペプチドリガンドで標識された経路酵素を特異的に蓄積する。このようなドメインはもともとモジュール性をもっているため、人工複合体に動員される3種類のメバロン酸生合成酵素の化学量論的組成を最適化することで、酵素発現および代謝負荷を抑制しながら、生成物の力価を77倍に改善することができた。ある同じ足場の例では、人工複合体がなくとも高力価(0.5 g/l)で得られるグルカル酸の収量が3倍となった。この方法は、ほかの代謝経路への一般化および経路流量の微調整のプログラムが可能であることが明らかにされるものと考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る