Letter

個人ゲノムの一分子配列解読

Nature Biotechnology 27, 9 doi: 10.1038/nbt.1561

最近の高処理能なDNA塩基配列解読技術の進歩は、費用の面でも処理能の面でも桁違いの向上を実現している。本論文では、一分子法で個人ゲノムの配列を解読したことを示す。読み取った24〜70 bp(平均32 bp)の短い配列数十億個は、平均28倍のカバー率でNCBI(米国立バイオテクノロジー情報センター)の標準ゲノムの約90%に整列させることができた。今回の結果は、1人のオペレーターが1台の塩基配列解読装置を使用してデータ収集を4回行うことによって得られた。一分子配列解読法により、クローン化、増幅、および連結を行わずにヒトゲノム情報を解析することが可能となった。我々は、約280万個の一塩基多型(SNP)を、サンガー法の検証による偽陽性率1%未満で確認した。そのSNP遺伝子型判定アレイとの一致率は99.8%であった。コピー数多型752か所がカバー倍数の程度を解析するだけで同定され、そのうち27か所はデジタルPCRで検証された。この画期的な方法により、ゲノム配列解読法は、個人ゲノミクスをはじめとする遺伝学およびヒトの健康の多くの側面に広く応用されるようになるものと考えられる。

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