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ヒト胚性幹細胞の長期自己複製および心筋細胞分化を行う合成ペプチド−アクリレート表面

Nature Biotechnology 28, 6 doi: 10.1038/nbt.1629

ヒト胚性幹細胞(hESC)は、細胞療法の開発に有益な2つの特徴を有する。それは、自己複製、および人体のあらゆる主要系統の体細胞への分化能である。hESC由来細胞を臨床に広く応用するには、経済的、確実、大規模化可能で化学組成の明らかな原材料を使用する培養法が必要となる。本論文では、化学組成が明らかで異種成分を含まない培地でのhESCの自己複製を可能とする合成ペプチド−アクリレート表面(PAS)を紹介する。H1およびH7 hESCは、PAS上で10代を超えて良好に継代された。細胞の形態および表現型マーカーの発現は、PASで培養された細胞とマトリゲルで培養された細胞で同等であった。PAS上の細胞は核型および多能性が正常に維持され、PAS上で機能性の心筋細胞に分化可能であった。最終的に、PASは大型の培養容器に大規模化された。hESCの自己複製および分化を可能とし異種成分を含まない大規模化可能な人工表面は、研究目的と細胞療法開発の両面で有用と考えられる。

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