Letter

抗ウイルス薬標的としてのA型インフルエンザ核タンパク質の同定

Nature Biotechnology 28, 6 doi: 10.1038/nbt.1638

A型インフルエンザは、抗原が変化した株や強毒性の株が出現することから、公衆衛生上今なお大きな問題となっている。アダマンタンやノイラミニダーゼ阻害剤のような入手可能な薬剤には抗ウイルス剤耐性が短期間で出現しており、インフルエンザウイルス感染には新しい抗ウイルス標的および薬剤が必要となっている。順化学遺伝学により、我々はA型インフルエンザの核タンパク質(NP)が創薬可能な標的であることを明らかにした。また、NPの凝集を引き起こして核内での蓄積を阻害する低分子化合物ヌクレオジンを発見した。ヌクレオジンは、in vitroでナノモル程度の半数影響濃度(EC50)でA型インフルエンザウイルスの複製を妨げ、致死量のA型鳥インフルエンザH5N1を接種したマウスを保護した。この結果は、ウイルスのNPが低分子による治療法の開発に有効な標的であることを示した。

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