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ペアワイズ作動物質スキャン法で組み合わせ刺激に対する細胞シグナル伝達応答を予測する

Nature Biotechnology 28, 7 doi: 10.1038/nbt.1642

複数の刺激に対する細胞応答の予測は、患者特異的な臨床状態の評価、および細胞生物学の基本的な理解のために重要である。シグナル伝達経路間のクロストークは、個々の経路を単独で調べても予測することができず、ともに作用する複数の作動物質の組み合わせの複雑度のため実験空間全体を網羅的に検討することは不可能である。本論文では、ペアワイズ作動物質スキャン法(PAS)を紹介する。これは、個々の入力シグナル、および入力シグナルのあらゆるペアワイズ組み合わせに対する細胞応答の測定結果に基づいて神経ネットワークモデルを訓練する方法である。我々は、3種類の濃度(0.1、1、10×EC50)の6種類の作動物質(ADP、コンブルキシン、U46619、SFLLRN、AYPGKF、 PGE2)に対するEDTA処理血漿中ヒト血小板のカルシウムシグナル伝達応答の予測にPASを応用した。モデルから、順次添加した作動物質、3種類の作動物質の組み合わせ、4〜6種類の作動物質の45通りの組み合わせに対する応答が予測された(R=0.88)。さらに、ドナー10例の血小板の表現型応答がPASで識別された。神経ネットワークを用量応答範囲にわたって対刺激で訓練することは、患者特異的な疾患環境の複雑なシグナル統合を予測する効率的な手段となる。

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