Letter ラパマイシン増強物質の化学遺伝学的スクリーニングによるSCFファミリーE3ユビキチンリガーゼの特異的阻害剤の同定 2010年7月1日 Nature Biotechnology 28, 7 doi: 10.1038/nbt.1645 TOR(target of rapamycin)は、真核生物の細胞増殖制御で重要な役割を果たしている。哺乳類のTOR(mTOR)経路はヒトのがんで過剰に活性化していることが多いため、TOR経路の阻害を促す戦略が求められている。我々は、酵母を用いたスクリーニングにより、ラパマイシンの小分子増強物質(small-molecule enhancers of rapamycin;SMER)を同定し、転写、細胞周期制御、免疫応答などのさまざまな細胞過程を調節するSCF E3リガーゼファミリーのSkp1-Cullin-F-box(SCF)Met30ユビキチンリガーゼの阻害剤(SMER3)を発見した。本論文では、SMER3がSCFMet30をin vivoおよびin vitroで阻害する一方で近縁のSCFCdc4を阻害しないことを明らかにする。さらに SMER3が、F-boxサブユニットMet30とSCFコア複合体との結合をin vivoで弱めることを明らかにし、SMER3がMet30に直接結合する証拠を示す。今回の結果は、個々のSCF複合体の機能を調節する特異的阻害剤を得るうえで根本的な障害が存在しないことを意味する。 Full text PDF 目次へ戻る