Article

モデル真菌Schizophyllum communeのゲノム配列

Nature Biotechnology 28, 9 doi: 10.1038/nbt.1643

食品、二次代謝産物、および産業用酵素の重要な供給源である子実体形成真菌の性質に関しては、研究すべきことが多く残されている。木材腐朽菌Schizophyllum communeは子実体発生に関する遺伝学的に取り扱いやすい研究モデルであるとともに、リグノセルロース系バイオマスを効率的に分解する酵素をもたらす可能性がある。遺伝子を13,210個コードすることが予想される3,850万塩基ゲノムの比較分析により、この菌種の独特な木質腐朽機構が明らかにされた。転写因子をコードすることが予想される遺伝子471個のうち3分の1は、S. communeの有性的発生で差次的に発現していた。その1つであるfst4の不活性化は子実体の形成を妨げるのに対し、別の遺伝子fst3が不活性化すると、野生型の真菌と比較して小さいながら多数の子実体が形成された。子実体形成ではアンチセンス転写物も役割を担っている可能性がある。子実体形成の基礎をなすメカニズムに関する洞察を深めることは、子実体の商業生産および酵素や薬剤を生産するための子実体の産業利用に影響を与えると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度