Perspective

マウスへの化学修飾mRNAの送達による治療用タンパク質の発現

Nature Biotechnology 29, 2 doi: 10.1038/nbt.1733

現在使用されている遺伝子治療用ウイルスベクターには、白血病誘発など、安全性に関する重大な懸念があり、非ウイルスベクターには遺伝子導入効率が低いという難点がある。今回我々は、DNAを基盤とする遺伝子治療に代わる化学修飾mRNAの治療的有用性を検討した。ヌクレオチド修飾を組み合わせることで、mRNAとToll様受容体(TLR)3、TLR7、TLR8、およびレチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-I)との相互作用が生じなくなり、マウスでの免疫原性が抑制されて高い安定性が得られた。修飾マウスエリスロポエチンmRNAを単回筋肉内注射すると、マウスの平均ヘマトクリット値は、28日間で51.5%から64.2%に上昇した。サーファクタントタンパク質B
(SP-B)の欠損による致死性の先天性肺疾患のマウスモデルでは、修飾SP-B mRNAのエアロゾルを肺に週2回局所投与することにより、野生型SP-Bの発現が71%回復し、投与個体は予定された28日間の試験期間の終了時まで生存した。

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