Research Abstract

う蝕原性菌Streptococcus mutansのコラーゲン結合タンパク質が出血性脳卒中に関わっている

脳卒中の危険因子はいくつか見つかっているが、3分の1の原因については説明がついていない。

The collagen-binding protein of is involved in haemorrhagic stroke

2011年9月27日 Nature Communications 2 : 485 doi: 10.1038/ncomms1491

脳卒中の危険因子はいくつか見つかっているが、3分の1の原因については説明がついていない。本論文では、コラーゲン結合タンパク質(CBP)を発現している特殊な型のう蝕原性菌Streptococcus mutansへの感染が、出血性脳卒中の危険因子となりうる可能性を示す。血清型がk型のS. mutans株に感染したマウスでは脳出血が悪化するが、標準株への感染では悪化は見られない。kS. mutansは損傷を受けた側の脳半球に集まるが、反対側の半球への集積はなく、これは細菌と損傷血管との間の相互作用を示している。高病原性の最も重要な因子はCBPの発現であり、CBPの発現はk型株に広く見られる特性である。CBPを発現するS. mutansが出血性脳卒中の患者で検出される頻度は、対照群よりもかなり高い。さらに出血性脳卒中の患者から単離した高病原性株は、マウスでも脳出血を悪化させ、これらの株が出血性脳卒中と関連性があることが示された。リコンビナントCBPの投与だけでも、脳出血の悪化が認められた。我々のデータは、特殊な型のS. mutansに発現しているCBPが出血性脳卒中に直接関与していることを示唆している。

仲野 和彦1, 外村 和也2, 谷口 奈穂1, 和田 孝一郎3, 工藤 千穂4, 野村 良太1, 小島 あゆち1, 仲 周平1, 村中 祥悟5, ミン・トゥラ2, 中島 淳6, 増田 勝彦1,7, 中川 一路8, Pietro Speziale9, 嶋田 延光10, 天野 敦雄11, 上崎 善規3, 田中 篤太郎12, 梅村 和夫2 & 大嶋 隆1

  1. 大阪大学大学院 歯学研究科小児歯科学教室
  2. 浜松医科大学 薬理学講座
  3. 大阪大学大学院 歯学研究科薬理学教室
  4. 大阪大学大学院 歯学研究科歯科麻酔学教室
  5. 浜松医科大学 実験実習機器センター 超微形態共同実験室
  6. 横浜市立大学 消化器内科学教室
  7. 増田歯科医院(大阪府守口市)
  8. 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 細菌感染制御学分野
  9. パビア大学(イタリア)
  10. 市立吹田市民病院 脳神経外科
  11. 大阪大学大学院 歯学研究科予防歯科学教室
  12. 聖隷浜松病院 脳神経外科
Although several risk factors for stroke have been identified, one-third remain unexplained. Here we show that infection with Streptococcus mutans expressing collagen-binding protein (CBP) is a potential risk factor for haemorrhagic stroke. Infection with serotype k S. mutans, but not a standard strain, aggravates cerebral haemorrhage in mice. Serotype k S. mutans accumulates in the damaged, but not the contralateral hemisphere, indicating an interaction of bacteria with injured blood vessels. The most important factor for high-virulence is expression of CBP, which is a common property of most serotype k strains. The detection frequency of CBP-expressing S. mutans in haemorrhagic stroke patients is significantly higher than in control subjects. Strains isolated from haemorrhagic stroke patients aggravate haemorrhage in a mouse model, indicating that they are haemorrhagic stroke-associated. Administration of recombinant CBP causes aggravation of haemorrhage. Our data suggest that CBP of S. mutans is directly involved in haemorrhagic stroke.

「おすすめのコンテンツ」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度