Research Abstract
膜電位の消失時に起こるPINK1の自己リン酸化は損傷を受けたミトコンドリアへのParkinの移行に不可欠である
PINK1 autophosphorylation upon membrane potential dissipation is essential for Parkin recruitoment to damaged mitochondria
2012年8月21日 Nature Communications 3 : 1016 doi: 10.1038/ncomms2016
ミトコンドリアに局在するSer/ThrキナーゼPINK1の機能不全は、家族性パーキンソン病(PD)を引き起こす。最近の研究で、健常なミトコンドリアではPINK1が迅速に分解されるが、膜電位(ΔΨm)が消失したミトコンドリアではPINK1が蓄積することが明らかにされている。このようなミトコンドリアでは、蓄積したPINK1が別な家族性PD遺伝子の産物であるParkinを動員して損傷したミトコンドリアをユビキチン化する。しかしながら、多くの研究が行われているにもかかわらず、PINK1がどのようにしてParkinの局在を制御しているのか、その詳細は明らかではない。本論文では、PINK1がΔΨmの低下とともに自己リン酸化されること、またパーキンソン病に関連するPINK1変異のほとんどが、この反応を阻害することを報告する。質量分析および変異解析から、PINK1の自己リン酸化部位がSer228とSer402であり、これらの残基は構造的に非常に近接した位置にあることが明らかになった。これらの部位をAlaに置換する変異を導入すると、PINK1の自己リン酸化が起こらなくなり、膜電位の低下したミトコンドリアへのParkinの移行が阻害される。一方で、リン酸化を模倣するAspへの置換変異では、自己リン酸化は障害されているにもかかわらず、Parkinのミトコンドリア局在は影響されない。我々は、PINK1のSer228およびSer402の自己リン酸化は、Parkinが効率よくミトコンドリアに局在化するために不可欠だと考える。
- 東京都医学総合研究所 蛋白質代謝研究室
- 東京大学大学院 新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻
- 立教大学 理学部 生命理学科
- 徳島大学 疾患酵素学研究センター 疾患プロテオミクス研究部門
- 順天堂大学大学院 神経学
- 理化学研究所 生命分子システム基盤研究領域
- 九州大学医学研究院 分子生命科学系部門
- 東京都医学総合研究所 蛋白質リサイクルプロジェクト
Dysfunction of PINK1, a mitochondrial Ser/Thr kinase, causes familial Parkinson's disease (PD). Recent studies have revealed that PINK1 is rapidly degraded in healthy mitochondria but accumulates on the membrane potential (ΔΨm)-deficient mitochondria, where it recruits another familial PD gene product, Parkin, to ubiquitylate the damaged mitochondria. Despite extensive study, the mechanism underlying the homeostatic control of PINK1 remains unknown. Here we report that PINK1 is autophosphorylated following a decrease in ΔΨm and that most disease-relevant mutations hinder this event. Mass spectrometric and mutational analyses demonstrate that PINK1 autophosphorylation occurs at Ser228 and Ser402, residues that are structurally clustered together. Importantly, Ala mutation of these sites abolishes autophosphorylation of PINK1 and inhibits Parkin recruitment onto depolarized mitochondria, whereas Asp (phosphorylation-mimic) mutation promotes mitochondrial localization of Parkin even though autophosphorylation was still compromised. We propose that autophosphorylation of Ser228 and Ser402 in PINK1 is essential for efficient mitochondrial localization of Parkin.