Research Abstract
微生物依存性のCD11b+IgA+形質細胞は、マウスの腸管における強力な初期IgA抗体応答を仲介する
Microbe-dependent CD11b+ IgA+ plasma cells mediate robust early-phase intestinal IgA responses in mice
2013年4月23日 Nature Communications 4 : 1772 doi: 10.1038/ncomms2718
腸管に存在する形質細胞は主に免疫グロブリンA(IgA)を産生しているが、その機能的多様性についてはまだよく解明されていない。本論文では、マウス腸管のIgA産生形質細胞が、CD11bの発現に基づいて新たに2つの集団に分類可能であることを報告する。これらの集団は、一般的な形質細胞マーカーやB細胞の起源、またT細胞依存性のような既知の基準によっては区別することができない。一方で、CD11b+ IgA+形質細胞はパイエル板のリンパ構造を必要とし、CD11b- IgA+形質細胞よりもIgA産生量は多く、また活発に増殖する。さらにその発生と維持には微生物による刺激とIL-10が必要である。このような性質を持つために、CD11b+ IgA+形質細胞は、タンパク質抗原による経口免疫によって誘導される腸管での初期の抗原特異的IgA抗体応答を仲介している。今回得られた知見は、マウス腸管に存在するIgA+形質細胞の機能的多様性を明らかにするものだ。
國澤 純1-5, 合田 昌史1,2, 橋本 えり1, 石川 いずみ1, 樋口 森生1,6, 鈴木 裕二1, 後藤 義幸1,5,7, Casandra Panea7, Ivaylo I. Ivanov7, 墨谷 莉沙1, Lamichhane Aayam1,2, 和氣 太一1,6, 田尻 創1,2, 倉島 洋介1,5,6, 四方 紫織1, 審良 静男8, 竹田 潔5,9 & 清野 宏1-3,5,6
- 東京大学医科学研究所 炎症免疫学分野
- 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 メディカルゲノム専攻
- 東京大学医科学研究所 国際粘膜ワクチン開発研究センター
- 独立行政法人 医薬基盤研究所 ワクチンマテリアルプロジェクト
- 独立行政法人 科学技術振興機構(JST)CREST
- 東京大学 医学系研究科
- コロンビア大学 医療センター(米国)
- 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 自然免疫学研究室
- 大阪大学大学院 医学系研究科 免疫制御学研究室
Intestinal plasma cells predominantly produce immunoglobulin (Ig) A, however, their functional diversity remains poorly characterized. Here we show that murine intestinal IgA plasma cells can be newly classified into two populations on the basis of CD11b expression, which cannot be discriminated by currently known criteria such as general plasma cell markers, B cell origin and T cell dependence. CD11b+ IgA+ plasma cells require the lymphoid structure of Peyer’s patches, produce more IgA than CD11b− IgA+ plasma cells, proliferate vigorously, and require microbial stimulation and IL-10 for their development and maintenance. These features allow CD11b+ IgA+ plasma cells to mediate early-phase antigen-specific intestinal IgA responses induced by oral immunization with protein antigen. These findings reveal the functional diversity of IgA+ plasma cells in the murine intestine.