Research Abstract

ハプテンとペプチド抗原に対するTh2型免疫応答の誘導には、好塩基球が必要である

Basophils are required for the induction of Th2 immunity to haptens and peptide antigens

2013年4月23日 Nature Communications 4 : 1738 doi: 10.1038/ncomms2740

外来抗原曝露に対してTh2型免疫応答が優位に傾く(skewing)ときに、好塩基球と樹状細胞が相対的にどう寄与するかは、まだ解明されていない。今回我々は、好塩基球を条件的に除去できるBas TRECKトランスジェニックマウスを用いて、さまざまな抗原による皮膚感作に応じて、好塩基球がTh2型免疫応答への偏りを引き起こせるかどうかを調べた。生体内で調べたところ、好塩基球はハプテンとペプチド抗原に対するTh2型T細胞の誘導に関与するが、タンパク質抗原の場合には誘導しないことがわかった。この事実とよく符合することだが、好塩基球は、卵白アルブミンをタンパク質として取り込んでプロセシングすることはできないが、卵白アルブミンのペプチドの場合は、主要組織適合遺伝子複合体クラスII分子を介して、T細胞に提示し、Th2へ分化させる。興味深いことに、好塩基球は樹状細胞存在下では、卵白アルブミンタンパク質曝露に応じてTh2型免疫応答を優先的に促進する。これらの結果を総合すると、皮膚感作に応じて好塩基球はハプテン抗原やペプチド抗原に対しては単独でもTh2型免疫応答を誘導できるが、タンパク質抗原に対するTh2型免疫応答の誘導には樹状細胞を必要とすることが明らかになった。

大塚 篤司1,2, 中島 沙恵子1, 久保 允人3,4, 江川 形平1, 本田 哲也1, 鬼頭 昭彦1, 野村 尚史1, 花川 奨1, Catharina Sagita Moniaga1, 金 鳳柱2, 松岡 達2, 渡邊 武2, 宮地 良樹1 & 椛島 健治1

  1. 京都大学大学院 医学研究科 皮膚生命科学講座
  2. 京都大学 AKプロジェクト
  3. 理化学研究所 統合生命医科学研究センター サイトカイン制御チーム
  4. 東京理科大学 生命科学研究所 分子病態学研究部門
The relative contributions of basophils and dendritic cells in Th2 skewing to foreign antigen exposure remain unclear. Here we report the ability of basophils to induce Th2 polarization upon epicutaneous sensitization with different antigens using basophil conditionally depleted Bas TRECK transgenic mice. Basophils are responsible for Th2 skewing to haptens and peptide antigens, but not protein antigens in vivo. Consistent with this, basophils cannot take up or process ovalbumin protein in significant quantities, but present ovalbumin peptide to T cells for Th2 differentiation via major histocompatibility complex class II. Intriguingly, basophils promote Th2 skewing upon ovalbumin protein exposure in the presence of dendritic cells. Taken together, our results suggest that basophils alone are able to induce Th2 skewing with haptens and peptide antigens but require dendritic cells for the induction of Th2 for protein antigens upon epicutaneous immunization.

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