Rab6aはアイドリング状態のダイニンによって形成される複合体からLIS1を解離させることにより、ダイニンを活性化して逆行性の輸送を行わせる
Rab6a releases LIS1 from a dynein idling complex and activates dynein for retrograde movement
2013年6月19日 Nature Communications 4 : 2033 doi: 10.1038/ncomms3033
細胞質ダイニンは、さまざまな積み荷の微小管マイナス端に向かう輸送に関わっている。我々は以前、LIS1がアイドリング状態のダイニンと複合体を形成することを明らかにした。この複合体は、キネシンモーターによって微小管のプラス端方向に輸送される。本論文では、低分子GTPアーゼであるRab6aが、アイドリング状態にあるダイニンの活性化に不可欠であることを報告する。免疫沈降実験および微小管プルダウン実験によって、GTP結合型変異体であるRab6a(Q72L)がLIS1-ダイニン複合体からLIS1を解離させることが明らかになり、そのLIS1の解離によってダイニンの動きが活性化されることがin vitroでの微小管滑り運動アッセイによって示された。Rab6a(Q72L)とダイニンのin vivoでの一時的な相互作用は、後根神経節細胞(DRG)終末で蛍光相互相関分光法(FCCS)を用いて計測された。さらに、Rab6a(Q72L)はLIS1-ダイニン複合体からのLIS1の解離に介在し、それによってダイニンが活性化されることが、異なる3波長領域の量子ドットを使った蛍光1分子解析によって実証された。我々の知見は、低分子量GTPアーゼRan6aがアイドリング状態にあるダイニンの活性化因子として働くという新規な機能を明らかにした。
山田 雅巳1, 熊本 香名子1, 三國 新太郎2, 新井 由之3*, 金城 政孝2, 永井 健治3*, 塚崎 克和4, 渡邊 朋信4, 福井 充5, Mingyue Jin1, 鳥羽 栞1 & 広常 真治1
- 大阪市立大学大学院 医学研究科 細胞機能制御学教室
- 北海道大学大学院 先端生命科学研究院 細胞機能科学研究室
- 北海道大学大学院 電子科学研究所 ナノシステム生理学研究分野
- 独立行政法人理化学研究所 生命システム研究センター
- 大阪大学大学院 医学系研究科 医学統計学教室
*現所属先:大阪大学 産業科学研究所 生体分子機能科学研究分野