クレブソルミディウムKlebsormidium flaccidumゲノムは植物が陸上適応した初期の要因を明らかにする
Klebsormidium flaccidum genome reveals primary factors for plant terrestrial adaptation
2014年5月28日 Nature Communications 5 : 3978 doi: 10.1038/ncomms4978
植物の陸上への定着は、生命の進化において重要な出来事の1つである。本論文では、水生藻類から陸上植物への移行の初期段階の解明を目的として気生藻類であるクレブソルミディウムKlebsormidium flaccidum(車軸藻植物門クレブソルミディウム目)のドラフトゲノム配列を報告する。ゲノム配列をその他の藻類や陸上植物の配列と比較したところ、クレブソルミディウムは陸上植物に特有な遺伝子を多数獲得していることが明らかになった。実際、クレブソルミディウムは、いくつかの植物ホルモンを生産し、陸上植物における一部のホルモン情報伝達経路を構成する因子を発現していた。またクレブソルミディウムのゲノムは、強光から植物体を守る、原始的なシステムをコードしていた。クレブソルミディウムにおいて上記のような陸上植物と近縁のシステムが存在していることは、進化の過程において、この藻類が陸上の生活環境への適応に必要となる基本的な機構を獲得したことを示唆している。
堀 孝一1,2, 丸山 史人3, 藤澤 貴智4, 富樫 智章5, 山本 希5, 瀬尾 光範6, 佐藤 修正7, 山田 拓司5, 森 宙史5, 田島 直幸8, 森山 崇8, 池内 昌彦8, 渡辺 麻衣8, 和田 元2,8, 小林 康一8, 斉藤 勝和2,8, 増田 建8, 関本(佐々木) 結子9, 増口 潔6, 粟井 光一郎10 下嶋 美恵1,増田 真二1,9,11, 岩井 雅子1, 信澤 岳1,2, 成瀬 孝史11, 近藤 智11, 斉藤 洸11, 佐藤 諒一11, 村川 雅人11, 井原 雄太11, 大島(山田) 由衣11, 大高 きぬ香11, 佐藤 雅典11, 園部 耕平11 石井 翠11, 大谷 亮介11, 金森(佐藤) 美有11, 朴木 里奈11, 宮崎 大地11, 望月 仁志11, 梅津 純平5, 東 光一5, 柴田 大輔1,2, 神谷 勇治6, 佐藤 直樹2,8, 中村 保一4, 田畑 哲之12, 井田 茂9,13, 黒川 顕2,5,9 & 太田 啓之1,2,9,11
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