UCHL1はHIF-1αの脱ユビキチン化に関与しており、診断・転移阻害法開発に活用できる
UCHL1 provides diagnostic and antimetastatic strategies due to its deubiquitinating effect on HIF-1α
2015年1月23日 Nature Communications 6 : 6153 doi: 10.1038/ncomms7153
低酸素誘導性因子1(HIF-1)は腫瘍の転移に関わっている。しかし、HIF-1を活性化し、それによって転移を促進する遺伝子群はまだ明らかにされていない。今回我々は、UCHL1(Ubiquitin C-terminal hydrolase-L1)がHIF-1の調節サブユニットであるHIF-1αのVHL(von Hippel-Lindau)を介するユビキチン化を阻害し、その結果転移が促進されることを示す。肺転移のマウスモデルでは、UCHL1の異常な過剰発現は腫瘍の遠隔転移をHIF-1依存的に促進する。一方、UCHL1-HIF-1経路を遮断すると転移性腫瘍の形成が抑制される。UCHL1の発現レベルは、HIF-1αの発現レベルと相関しており、また乳がんおよび肺がん患者での予後不良と強く関連している。これらの結果はUCHL1がHIF-1αの脱ユビキチン化酵素として働いてがんの転移を促進することを示しており、これによってUCHL1ががんの予後予測マーカーとして、またがん治療の標的として使えることが明らかになった。
Yoko Goto, Lihua Zeng, Chan Joo Yeom, Yuxi Zhu, Akiyo Morinibu, Kazumi Shinomiya, Minoru Kobayashi, Kiichi Hirota, Satoshi Itasaka, Michio Yoshimura, Keiji Tanimoto, Masae Torii, Terumasa Sowa, Toshi Menju, Makoto Sonobe, Hideaki Kakeya, Masakazu Toi, Hiroshi Date, Ester M. Hammond, Masahiro Hiraoka & Hiroshi Harada