ジャスモン酸応答性GTR1輸送体はシロイヌナズナ(Arabidopsis )でのジベレリンを介した雄ずいの発達に必要である
The jasmonate-responsive GTR1 transporter is required for gibberellin-mediated stamen development in Arabidopsis
2015年2月4日 Nature Communications 6 : 6095 doi: 10.1038/ncomms7095
植物ホルモンは、さまざまな生理現象の過程において細胞膜を介して輸送される。近年アブシジン酸およびストリゴラクトンの輸送体が特定され、さまざまな植物ホルモンの膜輸送は単なる拡散によって生じるのではなく、発達の過程で厳密に調節されている輸送体タンパク質を必要としていることが示唆された。本論文では、主要なグルコシノレート輸送体であるGTR1/NPF2.10が多機能性を有し、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)でのホルモン輸送に関与している可能性があることを示す。卵母細胞で異種的に発現させると、GTR1はグルコシノレートに加えてジャスモン酸イソロイシンおよびジベレリンを輸送した。gtr1変異体では花糸の伸長および葯の裂開が大幅に損なわれ、その結果稔性が低下するが、これらの表現型はジベレリンを処理することで回復させることができた。以上の結果は、GTR1が構造的に異なる化合物であるグルコシノレート、ジャスモン酸イソロイシンおよびジベレリンの多機能輸送体であり、ジベレリンの供給を介して雄ずいの発達を正に制御している可能性を示している。
Hikaru Saito, Takaya Oikawa, Shin Hamamoto, Yasuhiro Ishimaru, Miyu Kanamori-Sato, Yuko Sasaki-Sekimoto, Tomoya Utsumi, Jing Chen, Yuri Kanno, Shinji Masuda, Yuji Kamiya, Mitsunori Seo, Nobuyuki Uozumi, Minoru Ueda & Hiroyuki Ohta