in vivo研究に有用である様々な蛍光タンパク質を発現するインフルエンザウイルス(Color-flu)
Multi-spectral fluorescent reporter influenza viruses (Color-flu) as powerful tools for in vivo studies
2015年3月25日 Nature Communications 6 : 6600 doi: 10.1038/ncomms7600
季節性A型インフルエンザウイルスは、毎年、呼吸器系統の病気の流行を引き起こす。高病原性鳥H5N1ウイルスや最近出現したH7N9ウイルスは、ヒトに重篤な感染症を引き起こし、時には致死的な転帰に至ることもある。インフルエンザウイルスの病原性についての研究は多数あるが、インフルエンザの発症機序は充分に解明されているわけではない。今回我々は、動物モデルにおけるウイルス感染研究を効率よく進めるために、異なる波長の蛍光タンパク質を発現するインフルエンザウイルス(「Color-flu」ウイルス)を作製した。「Color-flu」ウイルスは感染マウスにおいて蛍光タンパク質を安定的に発現するため、様々な顕微鏡を用いた手法やフローサイトメトリーでウイルスを検出することができる。この系を用いて、生きたままの細胞を画像解析することにより、肺におけるウイルスの広がりを調べた。さらに、「Color-flu」感染マウスの肺におけるウイルス抗原陽性ならびにウイルス抗原陰性生細胞における遺伝子発現の違いを明らかにした。このように、「Color-flu」ウイルスは、動物モデルにおいて細胞レベルでのウイルス感染の解析を可能とすることから、インフルエンザの発症機序をよりよく理解するための強力なツールとなる。
Satoshi Fukuyama, Hiroaki Katsura, Dongming Zhao, Makoto Ozawa, Tomomi Ando, Jason E. Shoemaker, Izumi Ishikawa, Shinya Yamada, Gabriele Neumann, Shinji Watanabe, Hiroaki Kitano & Yoshihiro Kawaoka