可溶性LR11/SorLAは脂肪組織において熱産生を抑制し、ヒトではBMIと相関する
Soluble LR11/SorLA represses thermogenesis in adipose tissue and correlates with BMI in humans
2015年11月20日 Nature Communications 6 : 8951 doi: 10.1038/ncomms9951
褐色脂肪組織(BAT)での熱産生は哺乳類におけるエネルギー消費の重要な構成要素である。最近の研究から、ヒトにもBATが存在することや、その代謝における役割が確認されている。従って、BATの生理的調節を明らかにすることは、代謝疾患の治療戦略をたてるうえできわめて大切である。今回我々は、低密度リポタンパク受容体ファミリーLR11/SorLAの可溶性受容体(sLR11)が、脂肪組織で細胞自律的に熱産生を抑制することを示す。LR11欠損マウスは食餌負荷による肥満に抵抗性であり、これは白色脂肪組織の褐色化の増大と代謝亢進に関連した。sLR11を脂肪細胞に投与すると、骨形成タンパク質(BMP)/TGFβシグナル伝達経路を介した熱産生を抑制し、Smadのリン酸化を減少させた。さらに、ヒトでのsLR11レベルは、体格指数(BMI)や脂肪量と正の相関のあることが示された。エネルギー消費能力の高い組織を厳密に調節する義務を与えられていることを考慮すると、我々は、LR11がエネルギーを一定に保つ役割を担い、肥満の状態で誇張されていると提案する。
Andrew J. Whittle, Meizi Jiang, Vivian Peirce, Joana Relat, Sam Virtue, Hiroyuki Ebinuma, Isamu Fukamachi, Takashi Yamaguchi, Mao Takahashi, Takeyoshi Murano, Ichiro Tatsuno, Masahiro Takeuchi, Chiaki Nakaseko, Wenlong Jin, Zhehu Jin, Mark Campbell, Wolfgang J. Schneider, Antonio Vidal-Puig & Hideaki Bujo