Research Highlights

TIN2はTRF1テロメア長調節複合体のなかのタンキラーゼ1 PARPモジュレーターである

Nature Genetics 36, 6 doi: 10.1038/ng1360

ヒトのテロメアの長さは、テロメラーゼによるテロメア伸長が染色体の末端におけるTRF1複合体の蓄積により制限されているという、フィードバック機構によって一部は制御されている。TRF1それ自体は、相互作用をする相手であるタンキラーゼ1のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)活性によって阻害されうる。タンキラーゼ1は、in vitroにおいてTRF1のDNA結合活性を消失させ、in vivoにおいてTRF1複合体をテロメアから遊離させる。今回我々は、タンキラーゼによるTRF1の阻害はまた、第二のTRF1 相互作用因子であるTIN2によって調節されていることを報告する。テロメラーゼ陽性の細胞系を用いて、短いヘアピンRNAによるTIN2 の部分的ノックダウンを行った結果、テロメアの伸長が起こった。これは、TRF1 機能が減弱したときにみられる典型的な反応である。短い干渉RNAを用いてTIN2の一過性の阻害を行うと、テロメアのTRF1シグナルが消失した。この結果はPARP阻害剤である、3-アミノベンザミドによって元に戻すことが可能で、またタンキラーゼ1のPARP活性がない変異体を強制発現させた細胞ではみられなかった。TIN2はTRF1とタンキラーゼ1との3量体を形成し、それらの相互作用を安定化させ、この働きはタンキラーゼ1のPARP活性をもたない変異体でも観察された。In vitroでは、TIN2はタンキラーゼの自己修飾作用に影響することなく、TRF1がタンキラーゼ1によってポリ(ADP-リボシル)化することを防いだ。これらのデータはTIN2がTRF1複合体の中でPARPモジュレーターとして働くことを示しており、またこれにより、TIN2がどのようにしてテロメアの長さの調節に貢献しているかが説明できる。

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