Letter 精原幹細胞の維持におけるPlzfの重要な役割 2004年6月1日 Nature Genetics 36, 6 doi: 10.1038/ng1367 精原細胞、精巣の有糸分裂する生殖細胞、自己複製および精子への分化に関する分子機序はほとんど知られていない。今回我々は、転写抑制因子PlzfをコードするZfp145が精子形成において重要な役割を担っていることを示す。Zfp145の発現は、生殖母細胞および未分化な精原細胞に限られており、これらの細胞を欠くW/Wv変異マウスの精細管においては認められなかった。Zfp145欠損マウスでは、アポトーシスの増加とその後の精細管構造の欠如をともなって、年齢とともに徐々に精原細胞を失うが、明らかな分化障害あるいは支持細胞であるセルトリ細胞の欠失は認められない。精原細胞の移植実験により、成体において精原幹細胞の欠乏が明らかとなった。精巣変性前にZfp145欠損マウスから精原細胞を単離し、マイクロアレイによる解析を行ったところ、精子形成に関与する遺伝子の発現プロファイルが変化していることが示された。これらの結果は、Plzfが、精巣において、自己複製および幹細胞プールの維持を制御するために必要な精原細胞特異的な転写因子であることを示すものである。 Full text PDF 目次へ戻る