Technical Report

ウシにおける免疫グロブリンμおよびプリオンタンパク質をコードする遺伝子の連続的ターゲティング

Nature Genetics 36, 7 doi: 10.1038/ng1373

遺伝子ターゲティングは、マウスにおいては胚性幹細胞を使用して成し遂げられているが、他の種においては初代培養の体細胞とその後の胚クローニングを使用してのみ成功している。胚性幹細胞に対し、体細胞における遺伝子ターゲティングはむずかしい課題である。このため成功の例はほとんどなく、転写的に不活性化状態の遺伝子のターゲティングや、ホモ接合体を生みだす両対立遺伝子のターゲティングに関してはまったく報告されていない。本論文で我々は、初代培養の線維芽細胞を使用し、不活性化状態の遺伝子(免疫グロブリンμ(IGHM)をコードするウシ遺伝子)の両対立遺伝子をノックアウトし、ヘテロ接合型およびホモ接合型の両方のノックアウトウシを誕生させる連続的遺伝子ターゲティングシステムについて報告する。我々はまた、2つの遺伝子をホモ接合型で欠損するダブルノックアウト胎児を誕生させるために、ウシ免疫グロブリン?遺伝子ノックアウトウシ由来の線維芽細胞を用いて、線維芽細胞で活性化している遺伝子(ウシプリオンタンパク質(PRNP)をコードする)の両対立遺伝子の連続的ノックアウトターゲティングも成し遂げた。我々が使用した連続的遺伝子ターゲッティングシステムは、複雑な遺伝子修飾を生殖系列へ伝達するという要求を満たし、遺伝子の機能解析および生体臨床医学と農業への応用に広く適用されるであろう。

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