Letter 基本転写因子かつDNA修復因子であるIIHの新構成因子TFB5の同定 2004年7月1日 Nature Genetics 36, 7 doi: 10.1038/ng1385 我々はすでに巨大分子複合体研究における定量的プロテオミクスについて報告している。今回我々は、本法を用いて酵母のRNAポリメラーゼII転写開始前複合体を解析し、新規の開始前複合体構成因子候補として、未解析のオープンリーディングフレームであるYDR079c-aにコードされている8kDの新タンパク質を同定した。本論文では、YDR079c-aがポリメラーゼ・開始前複合体の正真正銘の構成因子であることを明らかにし、転写における役割について詳細に解析する。YDR079c-aはin vivoとin vitroの両条件下でプロモーターへと動員され、in vitroでの効率的な転写とGAL遺伝子の正常な誘導に必須である。さらに、YDR079c-aは基本転写因子かつDNA修復因子であるIIHの主要構成因子であり、TFIIHをプロモーターに効率的に動員するために必要である。YDR079c-aを欠失する酵母はゆっくりと成長し、主要TFIIHサブユニットに変異をもつ菌株と同様、紫外線感受性である。YDR079c-aは進化を通じて保存されており、ヒトのオーソログにおける変異はTTD-Aとよばれる硫黄欠乏性毛髪発育異常症(trichothiodystrophy)のDNA修復欠損の原因となる。進化上保存されたTFIIH主要サブユニットを新たに同定することは、転写、DNA修復、ヒトの疾患でのTFIIHの働きを理解するために不可欠である。 Full text PDF 目次へ戻る