Letter TFIIHの10番目の新規サブユニットはDNA修復症候群である硫黄欠乏性毛髪発育異常症のグループAの原因となる 2004年7月1日 Nature Genetics 36, 7 doi: 10.1038/ng1387 DNA修飾が欠損している硫黄欠乏性毛髪発育異常症(trichothiodystrophy:TTD)は、DNA修復および転写因子TFIIHのXPDおよびXPBサブユニットにおける変異の結果として生じる。グループAと呼ばれるDNA修復欠損TTDの第3型では、TFIIHをコードしている9個のサブユニットのいずれにも変異はみられなかったが、定常状態における複合体全体の発現レベルが著しく減少していた。最近、TFIIHの10番目のサブニット(TFB5)が酵母において同定された。本論文で我々は、ヒトにおけるTFBオーソログの同定と、そのヒトTFIIHとの関連について述べる。TFB5をコードしているcDNA(GTF2H5、またTTDAともいう)をTTD-A細胞にマイクロインジェクションすると、そのDNA修復能の欠陥が回復した。さらに我々は、血縁関係にない3人のTTD-A患者において、この遺伝子内の3つの機能的な不活化変異を同定した。GTF2H5遺伝子産物はTFIIH発現レベルを調節する役割を果たす。TTD-Aに関与する、進化上保存された新規のTFIIHサブユニットの同定は、転写、DNA修復およびヒトの疾患におけるTFIIHの機能の実体についての知見を与えるものである。 Full text PDF 目次へ戻る