Letter ウェルナー症候群の発症に必須のテロメア長短縮の役割 2004年8月1日 Nature Genetics 36, 8 doi: 10.1038/ng1389 WRN遺伝子の突然変異による不活性化は、常染色体劣性の遺伝性疾患で、早期老化、ゲノム不安定性の増大、癌発生率の増加を特徴とする、ウェルナー症候群を引き起こす。テロメラーゼを強制発現させるとウェルナー症候群患者由来の培養細胞が早期老化から回復し、また、長いテロメアをもつWrn欠損マウスが疾患としての表現型を欠いていることから、テロメアの短縮がウェルナー症候群の病因であると考えられる。本論文では、マウスにおいて、テロメア長保全が損なわれることによりウェルナー症候群の多様かつ複雑な細胞表現型が引き起こされることを示す。WrnおよびTerc(テロメラーゼのRNA成分をコードしている)の両遺伝子を発現しないマウスの後期世代においては、テロメアの機能不全が、早期死亡、白髪、脱毛、骨粗鬆症、2型糖尿病、白内障に代表される、典型的なウェルナー症候群様の早期老化を招く。この疾患モデルマウスではさらに、培養細胞において、染色体不安定性が増大し、癌、特にウェルナー症候群に特徴的な非上皮性悪性腫瘍の発生率が増加していただけでなく、複製にともなう老化が促進され、DNA損傷域が累積されていた。これらの遺伝的データは、Wrn欠損の複合的かつ多面的な表現型の出現の遅延がテロメアの短縮に関連があることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る