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レトロトランスポゾンから獲得したインプリンティング遺伝子Peg10の欠失は、初期胚の致死を引き起こす

Nature Genetics 38, 1 doi: 10.1038/ng1699

我々および他の研究グループは、哺乳類ゲノムの比較解析により、高度に保存されたDNA配列と挿入部位を有するTy3/gypsyレトロトランスポゾン由来の遺伝子で、活発に転写されているものが存在することを明らかにしている。進化の過程で保存されているこれらのレトロトランスポゾン由来の遺伝子が、哺乳類の個体発生においてどのような機能をもつかを明らかにするため、そのうちの1つで、マウスの染色体6番近位部にあり、父親性発現を示すインプリンティング遺伝子Peg10(paternally expressed 10)を欠損させたマウスを作製した。Peg10ノックアウトマウスは胎盤の形成異常により初期胚期で致死となった。この結果は、マウスの雌性単為発生におけるPeg10の(機能の)重要性を示すとともに、進化の上で保存されたレトロトランスポゾン由来の遺伝子が、哺乳類の発生に重要な役割を果たしたことを示す、最初で直接的な証拠となるものである。

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