Letter Nrasの欠失はRb1が欠損した神経内分泌系甲状腺腫瘍を転移性にする 2006年1月1日 Nature Genetics 38, 1 doi: 10.1038/ng1703 網膜芽細胞腫癌抑制遺伝子Rb1をコードする遺伝子の突然変異は、ヒトやマウスに腫瘍を発生させる。本論文で我々は、Nrasの欠失がRb1ヘテロ接合型マウスの腫瘍発生に与える影響を評価した。片方または両方のNras対立遺伝子が欠失すると、Rb1+/-マウスに生じる脳下垂体腫瘍の悪性度はその分化度が亢進することによって著しく減少する。それとは対照的に、Rb1+/-マウスに発生する甲状腺C細胞腺腫は、Nrasが欠失した結果、転移性甲状腺髄様癌へと転換する。Rb1+/- Nras+/-マウスにおける甲状腺髄様癌の遠隔転移は、残存している野生型Nras対立遺伝子の欠失が起こることを必要とする。Rb1欠損C細胞においてNrasが欠失すると、RasホモログファミリーA(RhoA)の活性が上昇し、その結果、これらの細胞は浸潤性や転移性を示すようになる。これらの研究結果は、プロト癌遺伝子であるNrasが特定の細胞で欠失すると悪性腫瘍の進展を促進する可能性があることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る