Article CELVNTRの変異によって糖尿病・膵外分泌機能障害症候群が引き起こされる 2006年1月1日 Nature Genetics 38, 1 doi: 10.1038/ng1708 糖尿病では膵外分泌機能障害がみられるが、膵臓の外分泌と内分泌が同時に障害される病気とその遺伝的要因との関連は不明なところが多い。我々は、糖尿病と膵外分泌機能障害の2家系において、遺伝学的解析、生理学的解析、そしてin vitroの機能解析をおこなった。家系1におけるゲノム全体のスクリーニングから、糖尿病が染色体9q34に連鎖した(最小ロッド値 5.07)。便中のエラスターゼ欠損を膵外分泌機能障害のマーカーとして使用し、染色体の重要領域を1.16 Mb(最小ロッド値11.6)に絞り込むことができた。本論文では、カルボキシエステルリパーゼ(CEL)遺伝子のエキソン11にあるVNTR(縦列反復配列の数の多様性)の一塩基欠失を同定した。CELは膵液の主要成分であり、十二指腸におけるコレステロールエステルの加水分解に関与している。若年発症成人型糖尿病(MODY)の患者をスクリーニングすることにより、別の家系2がCEL遺伝子の別の一塩基欠損とβ細胞障害および膵外分泌疾患と同様の症状を示すことを見いだした。野生型と変異型のCELタンパク質のin vivoでの触媒活性には変化がなかった。しかし、変異型の酵素はより不安定で、分泌速度は低かった。さらに、我々はCELVNTRにおける共通の挿入が、遺伝的に関連のない182人の糖尿病の患者の外分泌機能障害と連鎖する証拠を見つけた(オッズ比4.2、(1.6, 11.5))。我々の結果は、膵臓の腺房細胞のリパーゼの機能の障害と糖尿病を関連づけるものである。 Full text PDF 目次へ戻る