Letter ショウジョウバエ精子のプロテオームのゲノム進化と機能進化 2006年12月1日 Nature Genetics 38, 12 doi: 10.1038/ng1915 精子は1倍体ゲノムを卵子に送達する以外にも、卵子を活性化し、接合子に中心体を持ち込み、父性因子を供給するなどの重要な機能をもつ。それにもかかわらず、精子の構造と機能の分子的機序について現在得られている知識は限られたものに過ぎない。我々は精子に含まれる全タンパク質の質量分析を行い、ショウジョウバエDrosophila melanogasterの精子のプロテオーム(DmSP)を構成する381のタンパク質を同定した。この解析の結果、ミトコンドリアのタンパク質、代謝タンパク質、細胞骨格タンパク質、そしていくつかの、新たな機能的範疇に属するタンパク質群が同定された。また、精子遺伝子がゲノムにおいて選択的なクラスタを形成しており、X染色体にはあまり多くは存在しないことを観察した。精子プロテオームに関して広く機能的制約がみられたことは、性による選択がショウジョウバエ精子の進化全体に及ぼす役割はそれほど大きくないことを示唆している。DmSPとマウスの軸糸アクセサリ構造を構成するタンパク質とがかなりの相同性を示すことから、哺乳類の精子の機能と受精機構の解明のためにDmSPの特性解析を行なうことが妥当であることは明らかである。 Full text PDF 目次へ戻る