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代謝とQTL:糖尿病ラットと正常血漿ラットモデルを使った哺乳類代謝表現型の量的形質遺伝子座の直接的マッピング

Nature Genetics 39, 5 doi: 10.1038/ng2026

ゲノムの多型と表現型多型との関連づけは、病気の原因を理解するうえで必須である。病態生理学、プロテオミクス、あるいはトランスクリプトームのプロファイリングから導かれる情報量の多いデータが、QTL(量的形質遺伝子座)マッピングに利用されてきた。代謝形質は、植物のQTL研究ではすでに使われているが、哺乳類遺伝学においても、疾患バイオマーカーを定義するうえで必須のものである。糖尿病ラットと対照ラットの交雑体を用いた哺乳類の複雑な系において、NMRスペクトル解析から得られた非標的血漿代謝フィンガープリントの染色体マッピングを行った。本研究で、ほとんどの顕著なQTLに対する候補代謝物質について報告する。コンジェニック系統を使った代謝物質プロファイリングにより、QTLの再現性が示されている。腸内微生物の代謝物質(安息香酸)との連鎖は、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼの欠失により説明できる。拡大したゲノム(微生物群)の混乱はトランスゲノム効果を通して疾患プロセスに影響を及ぼし、QTL探索にも影響を与える。したがって、代謝物質QTLマッピングは、哺乳類のゲノム・表現型を関連づけるうえでの現実的なアプローチであり、根底にある生物学的な複雑さを明らかにするうえで役に立つだろう。

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