Letter Wntシグナル伝達:皮膚での発がん性ヘッジホッグシグナル伝達に対する病理学的な反応は従来型Wnt/βカテニンシグナル伝達に依存する 2008年9月1日 Nature Genetics 40, 9 doi: 10.1038/ng.192 構成的なヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達は、皮膚の基底細胞がん(BCC)や類基底細胞濾胞性過誤腫(basaloid follicular hamartoma)を含む、いくつかのヒト腫瘍の原因となる。表皮のBCCは、胚の毛芽(表皮細胞の塊で、その発生は従来型Wnt/βカテニンシグナル伝達によって調節される)に類似した新たな上皮芽として生じることは興味深い。胚の毛芽と同様に、ヒトのBCC芽は、細胞質および核でのβカテニンレベルの増加と、早期の毛包系統マーカーの発現を示した。また、がん遺伝子M2SMOを発現するマウスの上皮芽や過誤腫にも従来型Wnt/βカテニンシグナル伝達を検出した。これが結果として皮膚での構成的なHhシグナル伝達を誘導することになる。M2SMOを発現するマウスにWnt経路に拮抗するDkk1を条件的に過剰発現させると、Hhシグナル伝達には影響を与えずに、上皮芽と過誤腫の発生が強く抑制された。我々の知見は、Hh経路誘導型の腫瘍形成に、リガンド誘導型の従来型Wnt/βカテニンシグナル伝達が必要であるというこれまでは知られていなかったことを明らかにし、このような新生物の新しい薬理学的標的を同定し、早期の表皮BCCと胚の毛芽の間によく知られた類似性が認められる分子機序を確立するものである。 Full text PDF 目次へ戻る