Letter 線毛:イノシトール ポリリン酸5-ホスファターゼEをコードする遺伝子INPP5Eの変異はホスファチジルイノシトールの線毛症へのシグナル伝達に関係している 2009年9月1日 Nature Genetics 41, 9 doi: 10.1038/ng.423 ホスファチジルイノシトール(PtdIns)のシグナル伝達は、下流のシグナル伝達過程を動的に変えているPtdInsキナーゼとホスファターゼの細胞内局在により空間的にも時間的にも緊密に調節されている。ジョベール症候群は特異的な中脳-後脳の形成異常(molar tooth sign)という特徴をもっており、網膜形成異常、ネフロン癆、肝線維症、多指症とさまざまにかかわっており、新たに登場してきたグループである「線毛関連疾患」に含まれる。遺伝的にJBTS1遺伝子座と連鎖したジョベール症候群を示す個体ではPtdIns(3,4,5)P3とPtdIns(4,5)P2の5-リン酸を加水分解するイノシトールポリリン酸 5-ホスファターゼEをコードするINPP5E遺伝子内に変異が同定された。変異はホスファターゼ領域に集まって、5-ホスファターゼ活性が損なわれており、細胞内のPtdInsの比率に変化が起きていた。ジョベール症候群におかされた主要な臓器ではINPP5Eは線毛に局在し、変異では刺激に対する応答が時期尚早で不安定化をもたらす。これらのデータはPtdInsシグナル伝達と細胞構造である一次線毛とを結びつけるもので、一次線毛の細胞シグナルと神経機能を仲介する役割が徐々に認識されつつある。 Full text PDF 目次へ戻る