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iPS:どのような分化段階にあるかによって、造血細胞の人工多能性幹細胞への再プログラミング能が決定される

Nature Genetics 41, 9 doi: 10.1038/ng.428

転写因子Oct4、Sox2、Klf4、cMycを過剰発現させて体細胞から人工多能性幹細胞(iPS)への再プログラミングを行う方法は、効率が悪い。体細胞の分化状態が効率的な再プログラミングの妨げになっていると考えられてきたが、この理解に対する直接的な証拠は得られていない。本論文では、さまざまな分化の段階にあるマウスの造血細胞が示すiPS細胞への再プログラミング能について調べた。その結果、造血幹細胞および造血前駆細胞はiPSを、最終分化したB細胞やT細胞の最大300倍も効率よく、すなわち最高で28%までの再プログラミング効率で生じさせることが明らかになった。今回得られた結果は、出発細胞の分化段階によって、iPS細胞への再プログラミング効率が決定的な影響を受けるという証拠となる。さらに、iPS細胞テクノロジーを研究や治療において適用する上で、造血前駆細胞が魅力的な細胞種であることをはっきりと示すものである。

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