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幹細胞:長鎖の遺伝子間非コードRNA-RoRはヒトの誘導多能性幹細胞の再プログラム化を調節する

Nature Genetics 42, 12 doi: 10.1038/ng.710

特定の細胞系譜に運命付けられた細胞が誘導多能性幹細胞(iPSC)へと再プログラム化される際には、エピゲノムの大規模なリモデリングを伴い、結果的に遺伝子発現パターンの変化が生じる。本論文では、ヒトiPS細胞の誘導に伴って起こる、誘導長鎖遺伝子間非コードRNA(lincRNA)による転写ネットワークの再構成を特性解析し、その発現が多分化能に関連するlincRNAを多数同定した。これらのうち、その発現が胚性幹細胞よりもiPSCにおいて上昇しているもの、すなわち、活性化がiPSCの出現を促している可能性のある10種類のlincRNAを選別した。そしてこの推測を裏付ける形で、これらのlincRNAが多分化能の維持に重要な転写因子の直接的な標的であることを示した。さらに、機能喪失実験および機能獲得実験を行ったところ、このようなlincRNAのうちの1つ、lincRNA-RoRが再プログラム化を調節していることが明らかになった。今回の研究成果は、多能性幹細胞への誘導にあたってlincRNAが果たす重要な機能を証明した最初のものである。

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