ゲノムワイド関連解析から、肥満と強く関連するSNPがFTO遺伝子(ヒトのfat mass and obesity-associated遺伝子)内に同定されている。rs9939609にリスク対立遺伝子Aをホモ接合性でもつ人は、低リスク対立遺伝子Tをもつ人より、平均約3 kg体重が重い。FTO機能やFto発現を欠損するマウスでは、エネルギー消費量の増加と痩身表現型がみられる。本論文では、Ftoを広範囲に過剰発現させると、マウスが標準食あるいは高脂肪食のいずれを摂取した場合にも、体重と脂肪量の発現量依存的な増加が引き起こされることを示す。我々の結果から、体重の増加は、主に食物摂取の増加によって引き起こされることが示唆される。高脂肪食を摂取させたFto発現増加マウスでは、耐糖能異常が出現する。この研究から、マウスにおいてFto発現の増加によって肥満が引き起こされる直接の証拠が初めて示された。