Letter ヒトの進化:個人ゲノムの塩基配列決定による古代人における 人口統計のベイズ推定 2011年10月1日 Nature Genetics 43, 10 doi: 10.1038/ng.937 全ゲノム塩基配列決定はヒトの進化について豊富な情報を提供してくれている。今回、私たちはさまざまなヒトの集団に属する6人について全ゲノム塩基配列決定を行った結果をもとに、キーとなる進化のパラメーターを見積もった成果について報告する。ゲノム全体にわたる多くの中立的に進化した座位についての推定された系図から、古代人の集団サイズや分岐時間、移動率の情報を得るためにCoalescentモデルにもとづいたベイズ統計を用いた。また、集団間の遺伝子流動を考慮するとともに、2倍体の遺伝子型でとりうる位相に合わせる新しい方法についても紹介する。今回、遺伝子型推定のためのパイプラインについても記述しており、塩基配列決定法の違いやカバー率の違いによる偏りを軽減させている。私たちの解析は、南アフリカのサン人集団は他のヒト集団からおよそ10万8000〜15万7000年前に分岐し、ユーラシア人は古代アフリカ集団から3万8000〜6万4000年前に分岐したこと、そして全現代人の祖先の実質的な集団サイズ(有効個体数)はおよそ9000であることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る