Article 嚢胞形成:ヒトの多発性嚢胞腎および多発性肝嚢胞の5つの原因遺伝子の遺伝子相互作用ネットワーク からポリシスチン1が嚢胞形成の主要な決定 因子であることが明らかになる 2011年7月1日 Nature Genetics 43, 7 doi: 10.1038/ng.860 常染色体優性多発性肝嚢胞はPRKCSHあるいはSEC63の変異によって引き起こされる。その遺伝子産物は、それぞれグルコシダーゼIIβとSEC63pであり、小胞体でのタンパク質の輸送と品質管理経路において機能する。本論文では、マウスにおいて、グルコシダーゼIIβおよびSec63pが、多発性嚢胞腎の原因遺伝子の産物であるポリシスチン1およびポリシスチン2の機能的複合体の十分量の発現に必要であることを示す。我々は、ポリシスチン1がこの複合体の律速構成要素であること、また、PrkcshあるいはSec63に変異がある場合の機能的なポリシスチン1のレベルと嚢胞の拡大との間に用量反応関係があることを見いだした。ポリシスチン1の発現が低下すると、劣性多発性嚢胞腎の原因遺伝子であるPkhd1の変異によって引き起こされる嚢胞形成に対して、腎臓が感受性を増すようにもなる。最終的に、我々は、グルコシダーゼIIβを欠損する細胞においては、プロテアソーム阻害によって定常状態のポリシスチン1のレベルが増加すること、また、ヒトの常染色体優性多発性嚢胞腎の原因遺伝子のオーソロガス遺伝子モデルにおいては、プロテアソーム阻害剤処理によって嚢胞性疾患が軽減することを示す。 Full text PDF 目次へ戻る